多能工職人への話
ある工場の外部鉄骨通路と下屋と階段手すりの改修工事をさせて頂いたときの事です。
工事内容は、片持ちの鉄骨廊下の床の縞鋼板の交換および、手すり、階段の錆落とし、塗装修理です。当時は格安で突貫工事でもありましたので、昼は鉄骨やさんの手伝いや火花の養生などし、夜は塗装の手伝いをしたり徹夜もしたことが思い出されます。
1週間ほどで検査頂き、重大なクレームも無く完成です。
そんななか事務所には取締役の方が夜間も常駐しておられ、ご苦労をおかけしておりホンと恐縮です、その事務所でお茶まで御馳走になる際に取締役の方から、君は器用だから多能工になったほうがいいよと言われたのです。
私の人生は常にその言葉を心に刻みつつ、努力しながら働いてまいりました。
バブル景気の頃です、新築工事、リホーム、工事を請けると職人さんを手伝いながら技術を教わり、その仕事を請け負って経験をつむ、それが出来たありがたい時代でです。
そしてそれを生かせたのが、まず小さな仕事でトイレのリホームなどであります。
昔は和室風の真壁つくりの和式便所で、床はモザイクタイル一段上がって和式の便器があり、壁は腰までタイル天端はマルタケタイル、その上は繊維壁、タンクは隅付けか頭上にあるタイプの少し匂う便所のリホームが多くあったのです。
改修工事には大工さん、水道やさん、電気やさん、内装やさんが必要で、それぞれ都合をあわせて段取りをすると、日程も大変、費用も大変なのです。何よりは、お客様の都合での変更等を嫌がる事もあり、職人により性格もまちまちで癖もあるため小さな仕事でもおおごとでした。
ところが、すべてわたし一人で出来てしまえば、変更があっても動じませんし、費用も安く出来るしお互いに良いところばかりな訳です。
資格も、一職種に対しても、中途半端だと批判いただくこともありました、短期間でもおぼえるために精一杯努力したことは事実です、失敗を修正しながら成長した事もしました。
今思えば私が重宝されていた理由は、この多能工職を身に付けたから実感しております。
工場でのあの出会い感謝いたします。ありがとうございます。
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